条件付きMRI対応デバイスの出現
従来,MRI検査は禁忌とされていた心臓植込みデバイスであるが,2012年 10月から条件付き MRI対
応のペースメーカが使用可能となってます。さらに,現在では植込み型除細動器(ICD)、および CRTにおいても、MRI対応機種が出現しています。
しかし従来のMRI撮像不可ペースメーカとの混在がトラブルの原因ともなるため、CEのスキルがとても重要となってます。
施設基準
条件付きMRI対応デバイスのMRI検査は基準を満たし施設でのみ撮像が可能で、すべての病院で撮像は出来ません。
- 放射線科、循環器内科あるいは心臓外科があること
- 条件付きMRI対応デバイスに記載されている条件で撮像可能なこと
- MRI検査のための所定の研修が修了していること
- デバイスに十分な経験がありデバイス管理が可能なこと
- 磁気共鳴専門技術者あるいはそれに準ずるものが配置されMRI装置の精度及び、安全を管理していること
以下のサイトより撮像可能な病院が確認できます。

施設一覧 | 不整脈デバイス患者のMRI検査情報サイト
患者側の要件
患者側に求められるMRI撮像の要件もありすべてを満たさなくてはMRI撮像は出来ない。
- デバイス本体とリードのいずれもがMRI対応で適切な組み合わせであること。
1部を除き本体とリードのメーカが異なる場合は撮像不可。以下のURLより確認できます。MRI対応機種組み合わせ検索 | 不整脈デバイス患者のMRI検査情報サイト - デバイス本体とリードいずれもが植え込み後、6週間以上経過していること
※リード植え込み後6週間としているメーカもあるため、ジェネレータ交換後、早期に撮像可能な場合もある。 - デバイス本体が胸部に植え込まれていること
- 残存リードや他の治療で金属が植え込まれていないこと
- 撮像前の測定データが許容範囲内であること
- 条件付きMRI対応カードと手帳が提示できること
臨床では、高齢の方が多く、MRIカードを携帯していないことが多く撮像時の問題となってます
条件付きMRIカード
条件付きMRIカードは発行依頼書を製造販売会社に提出することで発行されます。
カードには氏名、植え込み施設、機種名、リード、植込み日が記載されています。
こちらのカードを携帯せずMRI撮像ができないこともあるため、施設で対策が必要となります。
※当施設では植込んだ患者のカードをカルテにスキャナし対策を行ってます。


MRI撮像条件
- 双極でのペーシング閾値が一定な値以下であること
- リードインピーダンスが正常範囲内であること
- MRI撮像時にMRIモードに変更すること
撮像時のモードとリスク
MRI撮像時には心拍の監視が必須となります。SPO2やECGを必ず装着しましょう。また急変時に対応するため除細動器および救急カートも操作室側でスタンバイすることが望ましいです。
MRI撮像時のモードとして非同期モード(AOO,VOO,DOO)とペーシングOFFのみ設定可能となります。そのためSpike on TやペーシングOFF設定に伴う心静止が生じるリスクを考えながら撮像に臨みましょう。
ICD,CRT-Dに関しては上記に付随してショック治療がOFFとなります。MRI撮像時にVT,VFとなる危険性もあるため迅速な対応ができるよう準備しておきましょう。
※緊急時はプログラマーの緊急対応ボタンや体外式除細動器ですぐに対応しましょう。

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